A‐①〈 小さい頃の二つの夢 〉

私は小さい時から空想したものを作ることや動物が大好きでしたがどちらかといえば、将来もの作りの仕事がしたいと思っていました。
小学6年の時テレビを見て犬の訓練士という職業があることを知り悩みに悩んだ末、中学1年の時に犬の訓練士になることを決心したのです。
18才でその道に入り、現在では45年経ちました。
その間、7年前になりますが健康だけが取り柄だった自分が体調を崩し、手足に力が入りづらくなり大変苦しい時期が1年ほど続いたことがきっかけで頭に浮かんだことがありました。
それは、自分の手足が弱くなったことで、愛犬家の中には子供さんや女性の方、特に高齢者などがいて、力が弱い人にとって何か作れないかということ。 弱い手にとって、すべりにくく、ショックが少ない機能にすぐれたカラーやリードを作りだしたいと思ったのです。
今までの訓練士生活の中で身につけた経験や、見てきた犬の習性・本能そして行動力などと愛犬家の声を参考にしようと思いました。
愛犬家の中には、首輪が切れて犬が離れてしまったことや、リードの摩擦によりやけどをしたり、犬に強く引っ張られることで転んだり、捻挫、骨折した方が多数いましたから、そのような危険なことが起こらないようにできないかと考えたのです。

その後、3.11東日本大震災があり予定がストップしたものの、半年経って普通の生活に戻れたあとから本格的に始めることができるようになりました。
まず特許と意匠出願が不可欠と思いましたが、知的財産の知識が全くないので宮城県発明協会を訪ね、説明やアドバイスを授かり数々のセミナーを受けながら研究・試作・実験・強度試験をするなどし、特許出願、意匠出願をして、結果権利を取得することができました。
それは、もの作りの好きな自分にとって最高の喜びと幸せを感じることとなったのです。 現在、長男が訓練士になり、仕事のすべてをこなすことができる今、自分の夢を実現するチャンスと思い、もの作りに没頭することにしました。
今後は第2の仕事として子供の頃の夢だったもう一つの夢を実現して時代に残る、人に喜ばれるすばらしい物を製作し、手先が動き命がある限り発案と創作に努めようと決心しました。